チェンマイの欧州映画祭で観ました、英語字幕付き。
2005 ベルギー=フランス
公開日: 2005年12月10日
何の躊躇もなく、自分の子どもを売ってしまう青年ブリュノ。大人になることとは?
2005 カンヌ映画祭、パルムドール受賞作
まずワンシーンワンカットが新鮮。日頃タイ暮らしの日常ではハリウッドの計算され尽くしたカット割り画面しか観てないものですから。
でもこのカメラマン、上手い。ドキュメントみたいになりそうなところをギリギリ劇映画に仕上げるカメラワーク。参考になります。
自主映画でやってみたらこうスムーズにはいきません。
シナリオが良い、というのが、この映画のすべて。
ボクは20代後半にシナリオ作家修行していた時代があり、そんなときにこういう少ない登場人物の日常を、ひたすら人の行動を見つめ、描いて行くということを教えられ、ボクもそんな映画をたくさん見たし、それで実際シナリオも書きました。
そんな時代のことが走馬灯のように...今時でもこんな映画を撮ってくれる人が居るのはうれしいです。
ハリウッドの映像の暴力のような映画ばかりみてると、絶対に映画的視野が広くなりません!!
ホラーがやたらと好きなタイ人観客、目覚めよ!!
あとは音、ですね。
札束を数える、その紙幣の擦れる音、これはロベール・ブレッソン!!
解説読んで気づいたんですけど、この映画、BGMとかいっさい無かったんですね。
何も爆破シーンや、殺人のシーンがなくとも立派にクライマックスが、スペクタクルがつくれることを教え直してくれる映画。
ひったくりから逃げるスクーターのシーンのカメラワークはすばらしかった。
どこの国にも居る、どうしようもない男の話、ただ、それだけなんですが、それもこうして映画になる。それが映画のすばらしさです。
ただ最後、涙を流せば終われるのかな、そんなことを想っていたら、やっぱり嗚咽(おえつ)。
ちょっと甘い、弱いラストのようにも想えました。
もっと観客を突っぱねても良かったのでは?
新鮮な時間を映画館で送れました。
author:匠武士
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