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イーストウッド監督主演最新作『グラン・トリノ(GRAN TORINO)』

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個人的には2009年上半期の洋画で、
痛快な一作「スラムドッグミリオネア」に張り合えるものとして最右翼の作品では、という予感があった。

とにかくラストにはびっくり。

物語は比較的想像通りに進んで行く。静かに破綻が、確実に近づく。...
これをどう終結させるか。
なんたって彼は「ダーティハリー」、そんな仕草もみせて観客を楽しませるが、
なんと最後に待っていたのは...

最初は唐突に感じたラストも、すぐにこれが一番映画で訴えたいことと理解すれば素直に納得できる。

暴力を捨て、戦争を憎み...

映画に出て来るモン族は、ボクとてそんなに遠い存在ではない。
北タイ、チェンマイから百数キロでラオス国境。そこにはモン族が存在する。タイ、ラオス、中国に散在する山岳民族。
ベトナム戦争時、アメリカCIAに反共産部隊として利用され、その見返りにアメリカへの難民入国を認められたモン族。

主人公のイーストウッドポーランドからの、
床屋はイタリア、土建屋アイルランド、そしてアジアから...まさに多国籍、多民族、すべてを飲み込んでいるアメリカ。白人は既にマイノリテイにという話もうなずける。

クライスラーは破綻した。
ガソリンを戦車みたいに消費する名車(迷車?)フォード・グラントリノが象徴するアメリカの今。
かつて栄えたミシガン、デトロイト。そこは空き家が目立ち、治安も全米一悪い...

頑固で孤独な老人と、アジア人のふれあい、
なんて生易しい文句ではない力強さ、その背景がここには語られている。
この背景が、まさしく今のアメリカの姿。

でも白人には
日本人も、韓国も、中国も、モンも
皆同じに見えるんだろうなあ、

いろんな意味でアメリカのでかさを感じる。
それに比べてわが島国は...
author:匠武士
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