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そのときリカルドには神が憑いていた

神がかり、とは貴方のことです

ユーロ準々決勝、ポルトガルvsイングランド
もう、何もいうことはない。
この試合を飾る言葉は見当たらない。
確かにルーニーの負傷退場は痛かった。しかし、それも試合のうち。
後半の展開はまさしくGL初戦のフランス戦状態。
このまま終わるわけはない。そして、やはりこのまま終わらなかった。
延長後半、ルイコスタのシュート、ぶったまげた。
その5分後、ランパードの同点ゴール、心が震えた(ランパード、今大会で男を上げた)。
PK戦になればポルトガル有利なのは明らか。いきなりのベッカムの信じられない失敗。
すんなり決まると思いきや……ルイコスタも。
PK戦に潜む心理戦をこれほどまで克明に見せられた試合も無かった。
でもひとつ言える事。
ポルトガルGKリカルド。
結果的にはイングランド最後のキッカーと成ったバッセルのPKを受けるとき、
彼はグローブを外し、素手ゴールマウスに立ちはだかった。
3本連続でど真ん中に入れられ、ことごとく読みのハズれた彼は自分を責め、
その自分の持つ“雑念”“迷い”を全て振り払うためにグローブを外したのではないか。


その時、リカルドに神が憑依した。そう想う。


最後のキックを蹴るとき、リカルドの頭の中は真っ白だったに違いない。
「ただお前は蹴ればいいのさ」とfootballの神に後押しされた。
それだけのこと。
イングランドは胸を張って母国に帰ればいい。
いつか自分たちの国に、“あの日”の神が来ることを信じて。