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ボクがタイの音楽に魅せられたワケ

at Hua-hin in Thailand

いつまでも音楽と一緒にいたい、
そんな願いをかなえてくれる場所、
それがタイ。


ボクが最初にタイの「生の」音楽に触れたのは2000年の秋でした。
ガイド誌「歩くバンコク」の「日曜は誰でも参加のジャムセッションあり」という一文に惹かれ、
トンローにあるウィッチーズタバーンというpubに行ったことが始まりでした。
結局、セッションには出会えなかったのですが、そこに出ているバンドもなかなか楽しかったし、
特別Liveチャージを取られるわけでもないし、
すごく気楽にハコバンの生演奏を楽しむことができたんですね。
日本なら友達のバンドを(義理で)見に行くだけでも数千円掛かったりしますからね(苦笑。
何よりその気軽さがとても魅力に想いました。


年が明けて2001年、場所はアユタヤ。
バスを降りてすぐ捕まったガイドに
「(セリエA)中田のサッカー中継が見たい」と 案内してもらったPub。
CCRなんかをちょっとしょぼい音で鳴らしてたBANDにひょんなことで加わったんですね。
店長がガイドの知り合いで、
「ボクguitar弾くの好きなんだ」「じゃやってみるか?」「いいの?」「いいさ」
そんな感じ。
曲は確か、♪プラウドメアリーやって、♪stand by meでは歌もやりましたね。
とにかく、それがやたら楽しかったんです。
乾季のタイはオープンタイプのレストランも多く、すごく開放感があって気持ちが良い。
日本なら騒音問題で隣から苦情が来るでしょう。
つまり、敷居が低いんですね、タイのお店は。
誰でも快く受け入れてくれる 。
(とはいっても舞台に上がるまでの綿密な状況作りは必要ですよ、これは企業秘密・笑)


ボクは26歳で初めてBANDを始めたという変り種ですが、
ギター自体は兄貴の影響で中学時代からいじってました(ちなみにBANDではBass&Vo.を担当。
また、音楽活動を休止する最後の2年ほど、
100人近い人たちとセッションを繰り返したこともいい経験になりました。


人と音を合わせる楽しさ、それこそが音楽だと。
ボクはこれで世界中の人と“会話”できると。
余談ですがタイには路上ミュージシャンというのを殆ど見かけません。
数年前「電波少年」の企画でアジアンHというバンドが タイで路上を試みましたが、
警察にたしなめられていました。
ボクはとある取材で広島に行ったとき、大きな繁華街で路上のシンガーたちに混ぜてもらい、
GuitarをPlayしたことがあります。
人前でPlayするのは本当に久し振りでしたが、そのときに
「音楽って楽しめばいいんだ。それが人に伝わるんだ」
そう感じたんですね。
そのとき想った気持ちを、タイはボクに呼び起こさせてくれたんだと想います……。


そんな形で“タイデビュー”を飾ったボクは、その後、訪タイするたびに pub、Liveレストランめぐり。
結果、舞台に立ったタイの町を挙げると、
北はチェンマイ、ターク、アユタヤ、
南はホアヒン、チュンポン、プーケット、ハジャイ。
一番多いのはやはりバンコクで、
The Rock Pubでやった♪天国の扉、とか。
先のウィッチーズタバーンでの♪コカインなどは印象に残ってます。
プーケット(タウン)は街が小さいから殆どのPubを制覇、していまいました。


もっとも最近は場の空気が“確実に”読めるようになってきましたので、舞台に立つ回数は減ってきてます。
もっと気軽に楽しむようになってきたからでしょうか。
結構、気合い要りますからね、舞台上がるの。
っていうか、そんなに舞台上がってどうする? って感じでしょうか(苦笑)


タイの人は音楽が大好きです。
どんなに最先端のLiveでも最後にモーラム(踊る民謡曲)が掛かったりするとワイルン(若者)も 一緒に踊ったりします。
それがたまらなく羨ましかったりもします。

気取りがないんですよ、音楽に対して、タイの人は。
音を楽しむ、歌を楽しむ。
日本はもう既に音楽が(特にPop Musicにおいて)細分化されてしまって、
やれRockだ、J-POPだ、R&Bだ、ハードコアだ、テクノだ、Hip-Hopだって……
現実的に音楽の話を共有するのが難しくなっています。
Pop Musicはひとつです! No Border!
演歌や歌謡の衰退も大きいでしょうね。
ボクの子供時代には歴然とした日本歌謡曲がありました。素敵なメロディーがたくさんありました。
なんだかタイに居ると、そんな、あの
日本の素直な音楽の時代がまだ残っているような気がするんですね。


基本的に音楽を測る尺度に、 洗練されている、という表現はあっても、
コレは進んでいるとか、コレは遅れているという表現は相応しくないと想います。
普遍的なものは、いつまでも人に愛され、生き残ってますよね。
いや普遍的なものを生み出すことこそMusicianの使命だし、本望じゃないのでしょうか。


こんなふうに
ボクとタイ音楽の出会いというのは、頭で考えたり、本で読んできたモノではなくて、
もっと実感として、肌で感じたモノなんですね。
タイに居れば十分音楽を、身近に肌で感じることができる、それがたまらなく大好きなんです。


これからも、身の回りで感じ、出会っていくであろうタイ音楽の良さ、T-POP(タイポップス)の面白さを現場で探し続けたい、そんなふうに想っています。


※この文は本家web-siteタイで想う日々の中で発表中のモノをblog用にbrush-upして掲載しました。

author:タイで想う日々管理人