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バンコクでNo Country for old men(ノーカントリー)を観る

2007年/アメリカ・上映時間122分
監督・脚本 : ジョエル・コーエンイーサン・コーエン
原作 : コーマック・マッカーシー
出演 : トミー・リー・ジョーンズハビエル・バルデムジョシュ・ブローリンケリー・マクドナルド

正直、これがアカデミー作品賞を取ることが良いのか? カンヌやベルリンのグランプリなら分かる気がするが。
映画の出だしは最高である、淡々と映像が組み立てられ、しかしそれがしっかりと興味をつなぎ、ドラマの中へと観客を引き込んでいく。
クローズアップの抜きの映像が心に焼きつき、一瞬のバイオレンスが強烈な印象を残していく。

これぞ、まさしく映画。久々映画的な表現に溢れた映画であることに興奮する。最近は、やたらと音のでかい脅かしや漫画アニメみたいな慌しい飛び物系映画しか出てこないから、ハリウッドは。だからこんなインディペンデントな香りがプンプンの映画が作品賞をとるしかないんだろうと想う。

流れる血しぶきを見ながら、ボクはコーエン兄弟のデビュー作ブラッドシンプルを思い出していた。
いまや巨匠とさえ言っていい二人だが、表現の根っこは変わってない、それがうれしかった。

バイオレンス映画、サイコサスペンスムービーとして一級品の出来。ドキドキハラハラというよりじわりじわりと響いてくる恐怖。
しかし、最後の20分は???な展開。
正直英語の会話劇になってしまうとまるっきり分からない(字幕は当然タイ語です)。
でもどうやら日本語字幕が出ても分からないという噂である。
バンコクの映画館ながらエンドクレジットが出たとき「何じゃこりゃ」という日本語が後ろから聞こえた。
保安官を演じたトミーリージョーンズは言っている。


「映画の仕事は答えを(観客に)与えることではない。
答えを与えるのは宗教だ。映画の仕事は、問いかけることだ」
まさに投げかけた、投げっぱなし、という感じもするがwコーエン兄弟からしょうがないw
日本語の解説でも読みながらゆっくり考えることにしましょう。
原作を読むのも良いかもしれない。
そうやって、この映画は心に残っていく映画となる。

最後にご忠告、デートmovieには不向きなので、ご留意ください。
ダニエル・デイ・ルイスのThere will be bloodもそうらしい。

author:匠武士
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