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i,Robotを観ながら想うこと

アビス系譜のrobot君



何の前情報も無く映画にいくってのはタイに来てからですね。
場所はセントラル(タイ人はセンタンと呼ぶ)
ラップラオ店のSFXシネマ。
ここではラストサムライも観た……
スパイダーマン2をこの前見たときに
ハリウッドモノはもうやめよう、なんて想いながらも
日本に行ったら映画館とは疎遠になりますし、
まあCATWOMANよりはbetterだろうと思って。


内容は……お金も手間も掛けた作品でした。



「あのロボットCGのリアリティは」なんて論議が中心になるような気がするんですが。

(帰りに“英語”のposterを見たら、アイザックアシモフがスタッフに参加しているようで

それなりの作品なんだろうと想いました。
Bankok Postにはthe short story by……アシモフの短編小説が下敷きなのでしょうか、
アシモフって言えば……人造人間キカイダー


ついこの前、40年前!の「華氏451」をビデオで再見しても思うんですが、

結局いまの映画はよく言えば、サービス精神の塊、というか、
何でも供給してくれるんですね。
見るだけで「わー、キャー」と思わせてくれる。
でもね、のりしろっていうか、観客に想像させる余裕を持たせるって言うのも
重要だと思うんですよ。
ボクはそういうのが映画だと思って、ずっときてるんですよね。

だから今の映画(の流れ)は漫画、カートゥーン、 それもすごーい書き込み量の多い、展開の速いヤツ。
絵の積み重ね、組み合わせじゃなく(モンタージュなんて難しい言葉も浮かびますが) すべてすさまじいCGや、 モーションカメラの今までに無い実写アングル、そのスピード感。
ボクは映画の醍醐味っていうのはここ一番のドン引きや いくつかの絵の積み重ね、ゆっくりとしたpan、 そしてそれがあるからそこ緊張感を呼ぶ、短いカット割り (コッポラのお決まりラストのカットバックもそうでしょう)
そういうのに感銘を受けて、 いろんなことを教えてもらった気がするんですよね。
それこそ人生なるものまで。 (結果的にその業界に首を突っ込むようになる……)

ゴダールの言う 「(ミゾグチの)山椒太夫のラストシーンのpanの美しさ」じゃないですけど。
やっぱりボクは今の、 そういう供給過剰の作品にはどうも拒否反応の示してしまうんですよね。
観客の想像力をうばってしまうというか。 なんかゲームセンターに居るような。

id:hibikyさんからは次のようなコメントいただきました。


昨今の映画が情報供給過剰傾向なのは、ホント、疲れます。
情報が盛り込んでいる割にはそれを語りきる的確なカットを撮れていないので、
とにかく勢いだけ、早口で押し切られている印象があって、
見ていて疲れます。
学生時代以来、新作チェックを欠かさなかった私も、
今年はついに限界、劇場へ足を運ぶのも辛くなってしまいました。
古きよき時代を偲んでばかりいても詮無いですが、
映画人には誰もが見て腑におちるような、
単純明快、ていねいなストーリーテリングに立ち返って欲しいと切に願います。

id:hibikyさん、コメント、ありがとうございます)
くしくも山根貞男氏が (BKKの日タイ交流センターでキネ旬みられるんですけど、その誌上で) 「下妻物語」と「キャシャーン」と「キューティハニー」のことを評してまして、
これらに共通して流れる漫画・アニメ感覚、 その配合具合の差、表現の幅、のようなこと……

そう結局は「だから何が言いたいの?」ってことに尽きるんですよね。

どんなに(過剰なほどの具体的)なSFX、CGを駆使しても、 ヒトのハートに伝わってこなければ、と。
結局映画ってヒトが観るモノですよね、そこがポイントかと。
i,Robotのあの凄まじい表現力を過剰じゃなく、 “さりげなく”つかうことで、 ものすごいイマジネーションをヒトに喚起させることができるのでは、 そんなふうに想ったんです。 (今の技術でこんなこともできますよ、的な見本市の映像じゃなく。

そんな作品が出てきてくれると(映画表現の未来に)凄く希望が持てるのではないかと……
まあ、しょせん、時代に乗れなかったSFX音痴野郎の愚痴ですが(苦笑

ちなみに映画内でhow many Robert...って何度も言うので 「ロバートが何人?」「ロバートってだれのこと?」と思ってたら、Robotでした。 nativeのpronunciationってほんと難しい。
でもタイ人にnative流の「robot」って言ったら、 やっぱりロバートさんのことと思われるんじゃないかなあ……。
あとDetectiveって単語も覚えました。


author:タイで想う日々管理人